大動脈弁とは?
大動脈弁とは「心臓の出口にある扉」のことで、心臓から全身に血液が送り出される時に開き、心臓へ血液が逆流しないように閉まるということを繰り返しています。
大動脈弁閉鎖不全症とは?
大動脈弁閉鎖不全症は、心臓の出口である大動脈弁の閉まりが悪くなり、心臓から全身に送り出された血液が再び心臓内に逆流する病気です。
逆流した血液が心臓に戻ってくるため、それが心臓にとって大きな負担となります。
大動脈弁閉鎖不全症の3つのステージ
軽症、中等症、重症の3種類あり、徐々に重症となっていきます。
重症となっても初期では無症状のこともあります。
中等度以上の大動脈弁閉鎖不全症の推定患者数(45歳以上)は67万人と言われています。
大動脈弁閉鎖不全症の原因
大動脈弁の閉まりが悪くなる原因は、大きく次の2つに分けられます。
①大動脈弁自体が壊れている場合
・動脈硬化によって弁が壊れる(加齢、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病など)
・リウマチ熱、感染性心内膜炎などの病気で弁が壊れる
・生まれつき弁の形が異常である(二尖弁など)
②大動脈が大きくなることによって起きる場合
・動脈硬化による大動脈の拡大(加齢、高血圧、脂質代謝異常、糖尿病など)
・大動脈が裂けて広がってしまう病気(大動脈解離や大動脈瘤など)
・大動脈に炎症を起こす病気(梅毒や高安動脈炎など)
・生まれつきの病気による大動脈の拡大(弁輪拡張症やマルファン症候群など)
大動脈弁閉鎖不全症の経過
大動脈弁の逆流が徐々にひどくなったとしても、心臓はその変化に順応し長期間無症状であることが多いです。
しかし、逆流がある限り心臓には常に負担がかかっているため、徐々に心臓が弱っていき、最終的に全身に十分な血液を送り出せなくなり、心不全を発症します。
心不全については、心不全ってなに?をご参照ください。
手術が必要になるタイミング
慢性の大動脈弁閉鎖不全症の手術適応は、症状の有無、心臓のエコー検査の数値(左室駆出率<50%)、左室の大きさ(左室収縮末期径>45mm、左室拡張末期径>65mm)によって判断します。
根本的な治療は、「壊れた扉(大動脈弁)」を取り替える手術が必要です。
症状が出現した重症大動脈弁閉鎖不全症で手術を受けなかった場合、1年で24%の人が亡くなるという報告があります。