・塩分
基本的には、1日6g未満を目標とします。
高齢者では特に夏場に、過度の減塩が脱水の誘因になることもありますので注意が必要なこともあります。
梅干、漬物、味噌汁、干物、かまぼこなどの練り物、加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ・フライドチキン)、麺類のスープ、おでんの出汁に多いです。
減塩食品でも摂取量が多ければ塩分過剰になってしまうので注意が必要です。
・炭水化物
摂取カロリーの50~60% (50~55%が死亡リスクが最も低い)を目標にします。
ご飯・パン・麺類などの穀物類、いも類、でんぷん類、砂糖や甘味類、果物に含まれます。
低炭水化物ダイエットは短期間であれば問題ないことが多いですが、長期にわたって低炭水化物+動物性脂肪摂取が多いと死亡リスクは上昇し、逆に低炭水化物でも植物性脂肪が多いと死亡リスクが低下するという報告もあります。
・脂質
摂取カロリーの20~25%を目標にします。
脂質に関しては、体に良いあぶら・悪いあぶらもご覧ください。
・タンパク質
推奨量は、18~64歳の男性は1日65g、65歳以上の男性は1日60g、18歳以上の女性は1日50gです。
毎回の食事で同じくらいの量のタンパク質を食べるようにしましょう。
腎臓病の方はステージと体重によって目標摂取量が違います。腎臓病のステージについては、自分の腎臓のステージを知っていますか?をご覧ください。
ステージ G1-2 ではタンパク質の摂取が過剰にならないように注意する必要があり、上限値は体重1kgあたり1.3g/日が目安です。ステージG3aでは体重1kgあたり0.8~1.0g/日、ステージG3b-5では体重1kgあたり0.6~0.8g/日となります。
・食物繊維
25 g/日以上の摂取が推奨されています。
量を計算するのは難しいので、野菜・きのこ・海藻・豆類・果物などをバランスよく摂取しましょう。
・ビタミン
いずれのビタミンも過不足なく摂取することが心臓病のリスクの低減、適正なコレステロール・中性脂肪の維持に望ましいとされています。
【食品別】
・肉
脂身の少ない肉を摂取し、加工肉は控えましょう。
鶏肉でも、鶏もも肉は鶏むね肉よりコレステロール含量が多いです。
鶏皮も飽和脂肪酸とコレステロールも多く含むため皮付きは避けましょう。
内臓類(レバー・モツ)などはコレステロールが多いので摂り過ぎないように注意しましょう。
・牛乳/乳製品
悪い作用と良い作用があります。
悪い作用は、飽和脂肪酸とコレステロールが含まれており、コレステロールが上昇すること
良い作用は、牛乳に含まれるカリウム、カルシウム、マグネシウムが血圧を下げたり、乳タンパク質の摂取ができること
そのため、牛乳・乳製品を摂取する場合は、低脂肪・無脂肪製品を選択しましょう。低脂肪乳・無脂肪乳・脱脂粉乳は血清脂質を改善します。
・魚
n-3(オメガ3)系多価不飽和脂肪酸の摂取のために最もオススメな脂質です。体に良いあぶら・悪いあぶらもご覧ください。
動脈硬化予防や心臓病の危険性を下げる可能性、抗炎症作用などあり、意識して食事から摂取するようにしましょう。
一方で、魚卵・子持ち魚・小魚はコレステロールが多いので摂り過ぎないように注意する必要があります。
・卵
LDL(悪玉)コレステロールが高い人・治療中の人、糖尿病の人は制限しましょう。
健康な人でもコレステロール摂取量が増加すればLDL(悪玉)コレステロールが上昇するので過剰摂取は控えましょう。
・バター/ラード/マーガリンなど
バター・ラード・ココナッツ油は飽和脂肪酸が多いため摂取を控えましょう。
飽和脂肪酸は総エネルギー量の7%未満を目標としましょう。
マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドを用いた菓子や揚げ物などの加工食品にはトランス脂肪酸が多く含まれるため摂取を控えましょう。
・穀物
白米よりも麦飯・玄米・雑穀類、白パンよりも全粒穀パンのほうが食物繊維を多く含むため推奨されます。
未精白の全粒穀物は総死亡、心血管疾患による発症や死亡を抑制します。
水溶性食物繊維が豊富な大麦やオーツ麦の摂取は血清脂質を改善します。
ソバの摂取は、血糖値・コレステロール・中性脂肪の低下に関与します。
・野菜/果物
動脈硬化性疾患の発症予防のために積極的に摂取する。総死亡・狭心症や心筋梗塞・脳卒中、糖尿病発症リスクを低下させる効果があると言われています。
果物の過剰摂取は、中性脂肪と尿酸の上昇の可能性があるため控えましょう。
果物は缶詰の摂取で総死亡や心血管疾患死亡が増加することが報告されているため、新鮮な果物を摂取することが望ましいです。
・海藻/大豆/ナッツ
海藻、大豆・大豆製品、ナッツ類を摂取しましょう。
海藻は食物繊維、ビタミン、ミネラルを含み、狭心症や心筋梗塞・脳卒中の発症を抑制する可能性があるとされています。
一方で、海藻は過剰摂取(甲状腺機能低下症や甲状腺腫を起こす可能性)に留意する必要があります。
・加工食品
加工食品は摂取量をできるだけ減らしましょう。
・アルコール
アルコールの摂取は25 g/日以下,あるいはできるだけ減らしましょう。
アルコール25 g/日=ビールで大瓶1本(633 mL)、日本酒で1合強、焼酎(アルコール25%)で0.7合、ワイン250 mL